左手親指のオクターブキーの動きを考える

以前右手の親指の動きを書いたけど、左手の親指の事も。

左手の親指はオクターブキーの動きで大活躍する指の動きだけど、ここの動きも負担を減らす動きを考えてみる。

「オクターブキーを押さえる」と言うとどういう意味に捉えて、どういう動きをするか見てみると、本当に楽器側にグッと押し込む動きをする人が多い。
オクターブキーを指圧マッサージするような感じ。

でも、これって力が入りすぎてるので遅い。
押さえる動きはいいかもしれないけど、離せない動きだから。

自分の構え方だとこんな感じになっている。

これで楽器を外すとこんな感じ。

 

サックスを持つように人差し指、中指、薬指を縦にまっすぐ並べるようにすると自然と親指って上を向くんですよね。
もちろん横向きにすることも出来るけど、それって力を入れるか、人差し指、中指、薬指を伸ばさないと出来ない。

親指が上を向いた状態で親指を動かすとこんな感じになる。

つまりオクターブキーの動きっていうのは「押さえる」という言い方がいいかというと必ずしもそうでもない。
最初はわかりやすいからそう言うけど、「親指を下に向ける」という方がイメージに近い。

左手親指を置く場所(サムレスト)の上部から下に向かって行く動きが出来るようになると親指の関節部分が宙に浮くこともなく、しっかりと動かせるようになる。

けど、もちろんこれも個人の関節の硬さにもよるところかあるので、一概に全部そうとはいえないけど、親指に負担がかかりすぎて痛くなる場合はちょっと考え方を変えてみるのも重要かなと。

利き腕と非利き腕の練習

2014年の記事に「左手(非利き手)に右手よりも優れた能力があることが明らかに」というのがありました。

 日本学術振興会海外特別研究員の横井惇氏らによる研究グループは、左手(非利き手)が右手よりも「反対の手の動きに合わせて柔軟に対応する能力」が優れていることを明らかにした。

 利き手が右手の人の場合、左手は右手のサポートをすることがしばしばあるが、これは左右の手の優劣を反映した結果なのか、それとも左右の手それぞれが持つ能力によるものなのかは分かっていなかった。

 今回の研究では、左右の手が連動する運動学習をおこない、右手の学習効果は左手の運動に干渉されないが、左手の学習効果は右手の運動から大きな影響を受けていることが明らかになった。さらに、ワインボトルの開け閉めのように、一方の手の運動に応じてもう一方の手が受ける負荷が変化する実験をおこなったところ、左手の方が学習が迅速に進み、その学習量は右手の2倍にまで達することが分かった。これらの結果は、両腕を動作させる運動においては、左手の方が反対の手の動作に応じて柔軟に運動を調節できることを示している。

 今後は、左右の手で役割分担が生じる仕組みの解明や、効果的なリハビリテーション方法の開発がおこなわれていくことが期待される。

自分もサックスを吹いていて、前々からサックスは利き腕(右手)よりも非利き腕(左手)の方が指は速く動くと思っていました。
とはいえ、「鍛えないと動かない」とも思っているので、それこそ毎日左手の指のトレーニングは毎日欠かさず行い、それで左手も問題なく指は動くように鳴っていると思っています。

しかし、この記事を読んで、最近は左手の運指が動いていない(動きが遅い)と感じる場合にはあえて右手を重点的にやることで効果が得られることも分かってきました。

例えば「ソラソシソド」という左手の運指。これを右手に同じような指の形に置き換えると「レミレファレファ#」となります。自分の場合は明らかに右手よりも左手の方が速く動きますが、初心者の人は明らかに右手の方が速く、なおかつミスも少ないです。しかし、右手で重点的にやってもらった後に、左手に移すと何故かスムーズに動きます。
つまり指の動きを叩き込むためには利き腕を中心に行うと指の動きを理解しやすいんだなと思っています。

しかし、難しいのは左右混合の場合。例えば「レソレラレシレド」。これを左右の指を反転させると「ソレソミソファソファ#」となりますが、この場合は効果がないんですね。どちらか一方の指の動きに限定しないといけないみたいです。

肉体的なトレーニングも大事ですが、頭の中で指の動きを考えれるようにすると指は速く動くようになり、指の動きを考えるためには左右反転にするのも効果的だなと思っています。

タンギングとアンブシュアの深さを考える

「タンギングが苦手です。」というのはたくさん聞く。それはタンギングがどこに、どのように、どんな感じでリードに当たっているか分からないという場合だよね。だからタンギングの有無だけでなく、リードミスやピッチの問題まで起こしちゃう。

ほとんどの原因がイメージのズレから起こるもの。初心者で代表的なズレはタンギングはマウスピースとリードの間を塞ぐもの→塞ぐのではなく、リードの振動を押さえるという風にしていく。
他にもタンギングをしようと思いすぎるあまり、舌先に力が入ってしまい、舌の奥(喉の上部)の力が抜けてしまう問題もよくある。

残念ながらタンギングはお互いに見せることが出来ない。だから「こうなっているかもしれない」という想像で教えるしか無い。
でも、最近はタンギングの教え方で分かりやすく効果がある教え方が分かってきた。

マウスピースを通常よりも極端に深く(場合によっては1cm以上)くわえてタンギングをやる。
その後に通常よりも浅くくわえてタンギングをやる。
それを2〜3回繰り返す。

もちろんこの場合はピッチがずれたり、リードミスが起こったりする。当然といえば当然なんだけど、これが起きる原因を考えると、アンブシュアの深さに比例してタンギングの当たる場所も変化しているから。これを「深さを変えても舌がリードに当たる場所を同じにする」と思ってもらうだけで全然変化する。

タンギングって、アンブシュアの深さが変わっても常に当たる場所は同じにしておく必要がある。だからアンブシュアの深さを変えてもタンギングの当たる場所は一定にしておくことが目的。つまり、これで安定したタンギングができるようになれば口の中でリードの位置を正確に把握できるようになっていきます。正確な場所=正確なタンギングに近づくという感じです。

毎回マウスピースをくわえる場所が寸分の狂いもなく一定だと思う?息継ぎしてもずれない?人間がやっているんだから絶対にずれる。マウスピースにつく傷とかを見れば一目瞭然。
他にも音域や音量によって若干だけど深さも変わる(ま、上の歯と下の歯問題もあるけど)。その時に舌がリードに当たる位置がずれればそれはタンギングの質も変化しちゃう。

これはタンギングにトラブルを抱えている人だけでなく、音色や音量に問題を抱えている人にも効果的だった。要はそのマウスピースに対して自分のくわえる深さを理解するためにも。
マウスピースは深くくわえるとピッチが落ちていくけど、ピッチの許容範囲内でどこまで深くくわえることが出来る?みたいな感じで。

舌の形とサックスの音との相互関係

音を形成する上でアンブシュアよりも喉を重要視しています。喉といえど、それをさらに上下に分割してみます。下側が楽器のコントロールを担う声帯、上側が音色に影響を与える下の付け根になります。ビブラートなどを含む音の揺れはほとんどこの舌のコントロールになっていますが、その舌の付け根部分を安定させると音色にもかなりの影響が出てきます。

 

しかし、ふと読んだこのサイトが気になりました。
http://www.viralitytoday.com/things-most-human-beings-cannot-do/2

6番のTongue Rollingというやつです。

 

舌を丸めることが出来ない?
自分は苦労することなく出来ます。むしろ全員できるものだと思っていました。しかし、サイトは99.9%出来ないとタイトルに書いてある。さらに気になるのが「遺伝」が理由で出来ないということです。

99.9%はさすがに嘘だろうと思って調べてみると、WikipediaにTongue Rollingという記載がありました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Tongue_rolling

すると日本人も24.72%が出来ないと書いてあります。

自分はサックスの音を出す時に息をマウスピースの中に入れるのではなく、リードに当てるイメージを持つことと言っています。その息の通り道をガイドするのが舌の役割だと思っているので、前述のとおり舌は音色に影響を与えます。

故に舌の形は非常に重要だと考えているので、舌の力の入れ方などはレッスンでもしっかりと取り入れています。しかし、約25%の人が遺伝が原因でタンギングや音色に改善の余地無しと出ると非常に面白く無いですね。
さらにサックス全体で約25%の人がタンギングなど舌に関することを苦手とするとは思えないんですね。ビッグバンドや吹奏楽などは5人以上いるので、1人が問題を抱えているはずもないので。

ということで、Twitterでアンケートを取ってみました。
すると全国から181人のサックス吹きの人から回答をいただけました。

見事にWikipedia通り25%が舌を丸めることが出来ないです。

と同時に、舌を丸めることが出来なくてもリードミスやタンギングに問題を抱えていないという回答も頂いています。

つまり、25%の人が舌の形を丸めることができない状態でも問題なくサックスを吹いているので、サックスにとって舌を丸めるような動きは必要ないですね。

確かに舌を丸める動きというのは舌先です。タンギングを含め、舌先を丸めるような動きは必要ありません。音の改善も舌の付け根に力を入れることで、舌先は力を抜けるようになるので、丸めるような舌先に力をいれることにはなりませんね。大事なのは舌先ではなく、舌の付け根(喉上の部分)だということを改めて思うようになりました。

よかったです、25%の人に遺伝が原因なので音やタンギングは諦めろと言わなくてもいいので。
とはいえ、舌のコントロールについては非常に重要なので、引き続き色々と調査してみたいと思います。

楽譜と暗譜

楽譜と暗譜。これって結構対極にいることが分かってきた。

楽譜が得意な人は曲を覚えるのが苦手な場合が多い

実は楽譜を読むことが得意な人は失敗するのがとても嫌いな人に多い。演奏のミスが許せないから、徹底的に楽譜を読む。そして楽譜の準備も怠らない。「やってみよう」というと、絶対に楽譜の準備をしてくるし、その準備にちゃんと時間をかける。だから、それなりに出来る。

でも、メロディーを覚えれない。もちろん覚えようという意思はあるし、その努力も怠らない。けど、暗記出来ない。

原因は音感やリズム感にあると思っています。暗譜のやり方も、本当に一語一句間違えないように覚えようとするから中々入ってこないのは当然といえば当然。
もちろんそこで感覚に頼ることが大事なんだけど、音感やリズム感が絶対にあると言い切れる人は少ない。頼れない感覚よりも、しっかりと順序立てて数こなして覚えようとする。だから、余計に覚えれない。

曲を覚えるのが得意な人は楽譜が苦手な場合が多い

曲を覚える事が得意な人は感覚(音感やリズム感)に優れている人が多い。感覚で分かるから、とりあえず何事も出来る。拍も数えれるし、間違えそうな場合も事前に察知している事が多い。

けど、楽譜が読めていないから、「なんとなく」→「正確」が遠い。

楽譜にはたくさん情報が詰まっているから、シンコペーションなどの少しの変化に対応できないケースがほとんどです。
また、正確な16分休符なども取れていない場合がほとんど。感覚を鍛える練習に楽譜は必須なんだけど、そこを避けているから正確性は怪しい。

苦手分野の克服へ

実は両パターンともそれなりに出来る。楽譜が得意、暗譜が得意って場合も十分に演奏する実力は付きます。でも、そこからさらに伸びない。やはり「それなり」から抜け出せない。
苦手分野の克服がやはり一番の近道。楽譜が得意な人には暗譜の練習をしてもらう方がいいし、暗譜が得意な人は楽譜を読む練習をしてもらう。これをやってもらうだけで全然変わる。

そして両方とも同じ練習内容を勧める。それが「耳コピ」。
聞こえた通りに演奏するというやつです。

もちろん楽譜を書くことが前提です。
これにより楽譜が得意な人はさらに楽譜能力を鍛えることが出来る他、感覚を研ぎ澄ますようになれるし、暗譜が得意な人は読譜はもちろん、より休符などを意識した演奏が出来ます。
両方ともさらに自分を伸ばしつつ、弱点克服に繋がる練習です。

ただし、デメリットも。
それはツライ事…。

曲によっても変わる

暗譜と楽譜、得意分野は曲によっても変わります。
例えばファンクは覚えやすいけど、ジャズは全く覚えれないとか。もちろんこの場合はジャズをやれという感じになります。

しっかりと自分の特性を活かし、練習内容を組み立てる方が上達の近道となっていきます。

構え方の右手の親指の方向について考えてみる

サックスの構え方にも色々とやり方があるけど、これは初心者には教えない内容です。こんなこと考えていたら曲が吹けなくなるから。ある程度の運指技術を身につけた人向けの内容です。

構え方で重要なのは右手の人差指、中指、薬指、小指。この4本が常に楽器本体に触っている状態が望ましい。レミファあたりのいわゆる押さえる音なら当たり前なんだけど、ソラシ辺りの左手しか押さえない時でも常に触っている状態にしてあげること。これが出来る様になると楽器の安定性が格段に上がるので、運指によるアンブシュアにもズレが出てこないという感じです。

それではその時の親指はどうなっているのかを考えてみると意外にヒントが見えてきます。

自分は指は押さえるというより、掴むという感覚のほうが近いので、軽くグーを作ってみます。もちろん親指が上で。
2015-11-13 11.16.29

 

すると、右手親指の方向は下方向に力が向くことが分かります。横ではなく、下方向に。
これを楽器に置き換えてみると下記のようになります。
2015-11-10 21.52.58

すると自然と他の指も曲がってくる感覚になると思います。

 

親指は横方向に向いていますが、明らかに力の方向は下です。グーの感覚と全く一緒です。

力の向きが下方向ではなく、横方向にしてみると、下記のように指を伸ばさないと出来ないです。
2015-11-13 11.16.40

つまり、指を伸ばした運指になるので、楽器からも指が離れてしまうという感じです。

他にも人差し指が親指よりも上にいる時も横方向に働きません。
これはサイドキーの誤操作を回避しているからこのような構え方になったとも考えられます。

親指の力の方向を考えるだけでもその他の運指に改善が見られる事が分かってきました。
親指は横に向いているからといって、横に力を入れるとは限りません。ちなみに上方向は楽器を親指で持ち上げている状態なので、間違いなく痛くなります(大体30〜40分が限界)。

確かに脱力することが運指を速くすることに繋がりますが、脱力するためには「力を抜く」という方法だけじゃなく、どこに力をどのように入れるかを考えてみることが大事です。

高音と低音の息の角度のイメージ修正

ある程度吹ける人向けの内容ですが、「思ったように高音が出ない(裏返る・音が細い)」などの問題の他にも「タンギングの立ち上がりが遅い」「高音域と低音域でピッチが違いすぎる」といった問題の場合は口の中の息の流れのイメージを修正してもらうと解決することが多いです。
以前息をリードに当てるという事を書きましたが、そこからの応用になります。

息のイメージも慣れてくると自然と出来る様になるのですが、そこからさらに一歩踏み込んでみます。
「高音と低音どこをどのように変えて吹いている?」と聞いてみます。すると「リードの奥側に当てると低音域、リードの手前側に当てると高音域」といったように、リードに息を当てていることは出来ています。しかし、そこにもう一つ角度という感覚を持ってもらいます。

「息をどのような角度で当てていますか?」と聞いてみると、「低音域は上から下へ、高音域は下から上へ向かうイメージ」という答えが返ってくることが多いです。音感があるタイプの人は特に。
これは間違いではないです。特にサブトーンなどを出す場合は実際に下に向かうイメージが強くなります。しかし、前述の通り「思ったように高音が出ない」「タンギングの立ち上がりが遅い」問題の場合はここを修正する方が先決と考えています。

修正ポイントは息の角度を変えずに息の角度を前後移動できるかどうかです。
低音域は奥へ、高音域は手前に持ってくる感覚はそのままに、息の角度を一定に保つようにしてみます。これだけでも十分な変化が得られます。
2015-09-08 09.58.00

息の当てる角度が変わってしまうということは口の中、つまり舌の角度が変わっているということです。舌の角度が変わっているのでタンギングやピッチなどにも影響するということです。舌の角度や力の入れ具合をコントロールすることで低音域から高音域までバランスよく音を出すことにつながります。
もちろん「全く角度に変化なし」というわけではなく、許容範囲の感覚を掴む事が目的ですが。

もう少し進めてみると今度は「どこまで奥?どこまで手前?」という感じに音によって息の当たる場所の変化を考えてもらい、「どのくらいのスピードで奥にもっていけた?どのくらいのスピードで手前に持ってこれた?」みたいにその移動する速さも追求してみます。

実際の曲で行うのではなく、ロングトーンなどで考える重要な内容です。舌の形などは見ることも見せることも出来ません。どれだけ想像するかが重要になります。

左手小指の位置を考える

親指(オクターブキー)の痛みと左手小指の関係

サックスで親指の付け根の関節が痛くなるのは関節が柔らかい人(特に女性)に多いです。親指をグッと逆方向に押してみると角度が90度以上行く場合はほぼ痛みを抱えた経験があると思います。それは30分以上演奏した場合に顕著に現れます。

2015-03-20-09.26.16

それでは痛みが無くなるためにはどうしたらいいのかというとやはり力を抜いて指を動かせるようになるしか方法を考えるしかありません。もちろん関節周りの筋肉を鍛えるという方法もあると思いますが、運指を速くするという本来の目的から遠のいてしまうような気もするので…。

その脱力の目安となるのが小指です。小指というのは力を抜くと自然と曲がったような形になっているのですが、伸ばしたままキーを押さえているのは要注意です。つまり指を曲げた状態のまま押さえることが出来るだけで痛みはかなり緩和されます。

小指を曲げなければ押さえれない位置でやってみる

しかし、実際の演奏で小指を曲げながら演奏するというのもなかなか上手くいかないものです。そこで、少し発想を変えてみます。

小指を曲げなければ押さえれない位置を使ってみます。

ソ#の運指はテーブルキーの上部にあります。ここを指全体で、キー全体の面積を使って押さえるのではなく、上部外側のみの面積(全体の1/4)のみを押さえてみます。

2015-03-17 19.49.29

2015-03-17-19.50.58

そこを押さえるようにするだけでも指は軽く曲がったようになっていきます。
それでも指が伸びてしまう場合は指だけじゃなく、左手の肘の位置など構え方を全体的に見直す必要があると思います。

(テーブルキーその他の押さえる位置もラッカーの剥がれ具合で大体わかりますね)

スケール練習でチェック

実際に自分もこの上部外側がメインの位置です。とくに装飾音符などを多用する曲の場合はここを定位置としておかないと指も速く動かないので。

しかし、いきなり曲で練習しても難しいので、スケール練習などでやってみてください。

押さえる位置が安定してくると指全体の力も抜け、速く動く運指/痛みのない運指というようになっていきます。

 

その他運指のことなどはこちら

サックスの音量差への考え方

適正な音量とは

サックスの「適正な音量」というのは音程のズレがない状態で裏返ったりしないように吹ける状態の音量のことです。音量を大きくし過ぎる(息を入れ過ぎる)とピッチ(音程)は下がってしまい、コントロールもしづらい(裏返る)状態になってしまいます。

音量コントロールという意味では「平均的な音量調整」なのか、「音量差を出せるようにすること」なのかの2つの観点から見ていく事が重要になると思っています。

ここでは「音量差を出せるようにすること」に絞ってみたいと思います。

音量を上げる理由が「自分の音が聞こえないから」「バンドの人に言われたから」とという理由のみだと平均的な音量を上げる意味も含まれていますが、フレーズの音量差によって解決するケースもほとんどだからです。

音量差によって大きく聞こえる理由

実はプロであろうとアマチュアであろうとサックスで出せる大きい音、小さい音というのはそこまで差があるものではないと思っています。
(もちろんその僅かな差を出せるのに苦労しますが… 要ロングトーン!)

しかし、何故か大きく聞こえたりするんですよね。

その秘密がアーティキュレーションの使い方です。必要な時に最適な音量で、最適な音の長さで吹くこと。これだけであまり音が大きくなくてもズバッと聞こえます。ここの見分け方が上手い人は演奏がすごく適した音量に聞こえます。

実際にジャズでは高音のアクセントの音ははっきり聞こえますが、低音はあまり聞こえないフレーズが結構たくさんあります。コピー譜などの楽譜には書いてあるけど聞こえないというのが多いはずです。

常に大きい音というのは「大きい声で叫び続ける」という状態に似ており、逆に何を言っているのか分からない状態に陥りやすいです。コントロール不能に陥りやすいし。

重要なところだけ大きい声で言ってもらうほうが分かりやすいですよね(例:「ここテスト出るぞ」など)。

こういった人間的な心理部分に寄るところがサックス演奏時でも多いからです。

大きく音を出せるということは音量差を付けれるということ

まずは大きい音を出す練習も行ってみます。しかし、これは大きい音で吹いて聞こえるようにしようというのが目的ではなく、大きい音を出せるようになれば音量差による表現力を増やすことができるという意味です。

注意しなければいけないのが、大きい音のみを追求しすぎる場合は小さい音が全く出なくなっていくケースです。ただ単純に音量を上げるにはアンブシュアを緩めて吹けばいいのですが、それでは前述の通り、ピッチは下がってしまいバンド演奏で音痴状態になることが多いです。そしてアンブシュアが緩んでしまっては小さい音もでなくなってしまいます。

大きくするべき音はもっと大きく、小さくするべき音はもっと小さくといったようにコントロールできる範囲を広げることが目的なので、大きい音と小さい音の両方を行うようにします。

また、チューナーなどを見ながら音量や音域を変えてもピッチの誤差が出過ぎないように行うようにすると効果的です。

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ロングトーンやスケール練習でも音量差を考えた練習方法を取り入れることが重要です。

8分音符だけのII-Vフレーズを変化する例

今では多数のフレーズ集も発売されており、実際に覚えたものを使ってみると取ってつけたような感じが出てノレないという経験がある人向けの内容です。

この「ノレない」という現象はほとんどがテンポに問題があります。

アドリブ初心者にとって速過ぎるテンポは難しすぎるので、市販のジャズのカラオケなどでは意図的にテンポを遅くしたものを録音していることが多いです。それもそのはず、いきなり速いテンポの曲でアドリブをやれというのが無理な話ですから。おそらくテンポ120位が多いと思います。しかし、ジャズの場合は120位はミディアムスローとなっており、やや遅いテンポです。

この120くらいのテンポというのは実は結構厄介で、初心者がアドリブ(いわゆる完全に思いつきフレーズ)をするには速く感じるテンポであり、逆にフレーズ集(決められたこと)を吹くには遅く感じるテンポです。
つまり、ゆったりなテンポで8分音符を演奏する場合はモッサリ感たっぷりの「取ってつけたような感じ」になって当然なんです。実際のジャズのアドリブを聴いても分かると思いますが、このくらいのテンポで8分音符だけで演奏している「名演」っていうのは無いです。つまり、なにかしら変化を付ける必要があります。

解決方法は2つ

1つは速くすること。
いわゆる最低でも160位(いわゆるミディアムファースト)まで上げるとフレーズもちゃんと機能し始めます。180位まで上げれるようになると8分音符だけでの演奏も十分かっこよく聞こえます。
しかし、このデメリットはアドリブ部分が難しくなることです。速いテンポで8分音符を吹き続ける技術も必要になります。

もう一つの方法がフレーズ自体にリズムの変化を入れることです。つまり、8分音符だけにせずに、3連符や16分音符を混ぜることです。
まずはこちらの方法を取り入れることを薦めています。

実際の例

最上段をオリジナルのフレーズとし、それを変化させたものです。

8分音符だけのII-Vフレーズを

変化の主な方法は4通り

  1. 休符&3連符に変化させる
  2. トリルを入れる
  3. 半音階を入れる(3連符に変化させる)
  4. 休符を入れる

1の休符&3連符はジャズ特有の裏拍始まりを作ることができます。
2のトリルはこの楽譜上ではABCの16分音符になっているところです。一瞬上の音に行くような感じです。
3のように半音階を足すので3連符にする必要があります。これもジャズ特有の半音階を使うことができるので効果的です。
4では2拍休みを入れてみます。始まりが変わるだけでも雰囲気は結構違います。これは「コードから外れるのでは?」と思われるかもしれませんが、コードよりももっと大事な「キー」がしっかりしているので大丈夫です。

このようにちょっとした変化を取り入れ、徐々に速いテンポに慣れるようにし、「使えるフレーズ」として覚えることが効果的です。

 

ジャズのアドリブに関してはこちら↓

クロスフィンガリングと中指/薬指の難易度について考える

サックス運指の弱点、クロスフィンガリング。
このクロスフィンガリング時の難易度をもう少し考えてみます。

まずは下記のような譜例を演奏してみます(右利き用です)。
便宜上リピートマークにしていますが、10回以上、速く繰り返して演奏するようにします。

A,B,Cがそれそぞれ対になっており、最初の音が「ソ」か「ラ」になっているだけです。
クロスフィンガリングの難易

これを演奏した時にソトラ、どちらが苦手ですか?

最初は間違いなく「ソ」、いわゆる薬指を使う運指が苦手なケースが多いです。
速くすると指の遅れがさらに出て来るので難易度の高い運指です。

しかし、ある程度練習を積み、さらに演奏スピードを上げる(大体120くらい)と、これが不思議なことに「ラ」の方が難しくなります。

1回だけなら簡単ですが、複数回連続で行うと3本指を動かすよりも2本動かすほうが圧倒的に難しくなります。
「自分がどの指を動かしているのか分からない」という状態になります。特に中指を離しているのか押さえているのかわからなくなります。
この混乱状態を解決してあげることがクロスフィンガリングの克服に繋ると思っています。とは言え、「クロスフィンガリングが得意!」っていう人はありえないと思いますが。

とりあえず、まず習得したいのは3本運指でのクロスフィンガリング、そして速く連続して行うのが難しい2本運指を極める道筋がいいのではないかと思っています。もちろん指を痛めてはいけないので、練習量は程々にしておかないといけないですね。

ちなみに自分もアドリブ時に「ラドシドラドシド」みたいなフレーズを思いついて実際に吹こうとすると指が「もたつく」と感じることがあります。ソドシドは大丈夫なんですが…。

また、この弱点運指は左手親指が痛くなる人であれば特に重要視します。中指の力を抜くことでその親指の痛みからも開放されることが多いからです。


クロスフィンガリングを含めた運指ウォームアップ練習はこちら↑

マウスピースだけの練習について考える

サックスの練習方法で「マウスピースだけで吹いて練習する」というのがあります。
この練習方法はいわゆる学校の吹奏楽部でよく行なわれるものですが、実はこの練習はよく指導者側で「意味の無いこと」とも言われています。

自分もこう考えていましたが、実はこのマウスピースだけで吹くというのも非常に重要な「初心者にとってサックスの音を知る」方法だと思っており、全く無駄なことではなく、非常に重要な役割もあると考えるようになっています。

サックスという楽器は音を出しやすい楽器です。正直、ある程度の肺活量があれば誰でも音を出せる楽器だと思っています。しかし、「良い音を出す」というのは本当に難しいです。サックス本体を組み立てて演奏するといわゆる「悪い吹き方(アンブシュアなど)」でも音は出ます。つまり、初心者にとっては音の善し悪しを判断するのが難しくなります。

そこで簡単な判断方法の1つとしてマウスピースだけで吹いてみます。その時に以下のことを重点的に聴いてみます。

  • どんな高さの音が出ているのか
  • どれだけ音を伸ばすことが出来るのか
  • 歯に不必要な振動を感じていないのか

基本に忠実な吹き方というのは高い音で、10秒以上伸ばせる状態で、歯に振動は感じません。大体10秒(男性なら13秒)以上伸ばせる状態であれば問題のないケースが多いです。
出来ない場合はアンブシュアが原因であり、改善する必要があります。リードやマウスピースの交換も必要あると思っていますが、10秒位ならダメなリードでも行ける可能性が高いです。(ちなみに自分の場合は60秒位は伸ばすことが出来ます)

実際に楽器を使った練習で「急に息が続かなくなった(音を伸ばせなくなった)」「音が割れるようになった」など、音に関するトラブルが出た時はもう一度マウスピースだけで吹いてみます。すると吹き方に問題が出ていることに気づきやすいです。
他にもマウスピースだけで綺麗に音が出ているが、楽器を付けた状態で異変があれば楽器(リードを含む)側に原因ということも考えられ、対処方法を考えることもできます。

マウスピースだけで吹くというのは「練習」というより「確認」という意味が強いです。指導する上でも初心者の人にサックスの吹き方を理解してもらう、分かりやすい方法です。聞いていて明らかに不自然な「音色・音の揺れ」が出て来るからです。

確かにある程度吹ける人にとってはあまり意味のない事になってしまいますので、吹き方のコツさえ掴めれば後は必要ないでしょう。

サックスのリードの硬さについて考える

サックスのリードの硬さについて考えてみます。

前回も記載しましたが、リードは振動の幅が音量、振動の速さが音程になります。
振り幅が大きいと音も大きく、逆に振り幅が小さいと音は小さくなります。そして振動の速度が上がれば音は高くなり、振動の速度が遅くなると音は低くなります。

リードの振動で考えると高音は速い振動にしたいので、振り幅を小さくする(音を小さくする)方が音を出しやすくなります。逆に低音は振り幅を大きくする(音量を大きくする)方が出しやすくなります。

リードの硬さで考えてみると、柔らかいリードはしなるので、遅い振動(低音域)を出しやすくなります。逆に硬いリードは張りがあるので速い振動(高音域)を出しやすくなります。

つまり、高音域(フラジオを含む)をスムーズに出すためには硬めのリードをつけて小さく吹けば出すことは簡単です。
低音域を出すためには柔らかめなリードを使ってやや大きめに吹くほうが簡単です。

しかし、ここで問題になってくるのが音楽的演奏体力・筋力面の問題です。

メロディーは高音域を大きい音量で、逆に低音域は小さい音量で演奏するのが一般的です。リードの適した振動とは全く逆になってしまいます。高音域のアクセントや低音域の小さい音でのロングトーンはすごく難易度が高いです。

また、硬いリードはアンブシュアの筋力維持が難しく、すぐにバテてしまいます。吹き始めはいいのですが、連続して30分以上演奏するとそれは顕著に現れます。

残念ながら「高音域が大きい音で出せて、低音域を小さい音で軽やかに出せて、それでいてアンブシュアにも負担をかけないリード」という万能リードは存在しません(極稀に有りますが…)。

プレーヤーはリードの硬さに合わせて、適した奏法が出来る事が重要だと思っています。以下のようなのが考え方の例です。

  • 柔らかいリードは高音域が裏返りやすい。高音域は丁寧に吹くようにしよう
  • 硬いリードだから噛み過ぎに注意してアンブシュアに負担をかけないようにしよう
  • 大きい音量で高い音をスムーズに出したいのでやや硬めのリードを選んでみよう
  • まずは運指を確実にしたいので、吹奏感が楽な柔らかめなリードにしよう

個人的には柔らかめなリードで高音域を丁寧に吹くようにすることを薦めています。高音域でまずは小さく吹いて運指や吹き方に慣れてから徐々に大きくしていくという感じです。

ちなみに、柔らかいリードで高音域を出すと息が詰まったり、オクターブ下の音やリードミスが起こりやすくなります。逆に硬いリードで低音域を出すと音が掠れたように、遅れて発音してしまいます。

自分に適したリード選びが出来ることも重要な「音に対する技術」です。

他にも息の量も重要になりますが、これは以前書いた内容で解消するケースがほとんどです。振動を息の量でコントロールするのではなく、息の当て方でコントロールしようという内容です。とはいえ、息の量を入れすぎてすぐに詰まってしまう場合はリードよりもマウスピースの変更を視野に入れないといけないですが。

自分の現在の愛用はWoodstoneの2 1/2。ちょい高いけど、好みな硬さ。

サックスのリガチャーの位置について考える

サックスはリードが振動して鳴る楽器です。
となると、リードの振動について考えればより効率的にいい音に近づきます。

今回はリードの振動とリガチャーについてさらに考えてみます。

振動の幅が音量、振動の速さが音程になります。
振り幅が大きいと音も大きく、逆に振り幅が小さいと音は小さくなります。
そして振動の速度が上がれば音は高くなり、振動の速度が遅くなると音は低くなります。

ここで「リガチャーの取り付け位置」を考えてみます。

セルマー、ヤマハ、メイヤーなどのマウスピースではマウスピースに線が刻まれているのでそれに合わせます。いわゆる標準位置です。

そこからリガチャーを手前側(口側)に設置するとリードの振動面積が減るので音量は落ちますが、吹きやすさは上がります。
逆に奥側(楽器側)の方に設置すると振動面積が増えるので音量は上がりますが、息の量も必要となります。

これはリガチャーを締め付けるネジにも言えます。

2本あるネジのタイプでは前側を強く締めることで振動面積を減らすようになり、逆に前側を緩めると振動面積が増えることになります。

ちなみに、現在は締めるバランスを均等にということでネジが一本のタイプのリガチャーも多数出ていますが、個人的にはネジを締める強度も考えたいので2本のものが好きです。

つまり、、、

リードが硬いと感じた場合はリガチャーを手前側にするだけでも吹奏感は楽になります。逆に柔らかい(息が詰まる)と感じる場合は奥側に付けるほうがスムーズに鳴ってくれます。

自分の場合、リードの硬さによって1cm位はリガチャーの位置が前後します。
もちろんリードの選定する技術も必要になってきますが、微調整を行うだけでも吹奏感が変わります。

リードの状態(ヘタっているのか、新品なのか)や、演奏する内容(音よりも運指や譜読みに集中したいとき)などはリガチャーの位置を考えてみましょう。

2015-02-19 10.06.41

楽器を使わないで行うロングトーン練習

ロングトーンはその名の通り、音を伸ばす練習方法です。サックスのみならず、管楽器の音に対する定番基礎練習です。

ロングトーンはもちろん楽器を使うほうが効果的なのですが、楽器を使わなくても十分練習出来ることが分かってきました。

それが「声を出し続ける」だけです。
もちろんその練習方法にも条件があります。

【条件】
①喉仏の上の辺りが硬い状態(力が入っている状態)であること。
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写真の指で押さえている部分です。やや高めな声で「ウー」と言ってみると硬くなるはずです。

 

②小さい声を出し続ける(途切れない)こと。

実際に小さい声を出し続けてみてください。その時に硬い状態を維持したまま、小さい声を大体10秒くらいまで維持できるようにしてみます。

 

やってみるとわかりますが、小さい声を出し続けることは結構難しいです。小さい声を維持しようとすると喉が柔らかくなってしまったり、途切れ途切れになってしまいます。しかし、それでは意味がありません。

このままではサックスを小さい音量で吹くときも力が抜けてしまうことが考えられます。それではきれいに音を出すようにはなりません。

サックスを吹く時もそうですが、息の通り道(いわゆる喉部分)の力が抜けていると安定した息を口まで送り届けることが出きません。息の量に関係なく、通り道を硬い状態(安定して送り込める状態)に出来るようにすると、音量や音域に関係なくピッチや音色も安定してきます。

これは喉近辺を鍛える方法として取り入れてみる方法です。もちろん楽器を使ったほうがアンブシュアの練習も兼ねることが出来るので効果的です。しかし、音量の問題や練習の気軽さを考えるとこれも十分な練習方法です。

 

また、硬くなる部分というのは下の付け根(舌根)になります。タンギングが苦手な人はここが緩むことも原因の1つなので、タンギングにも効果があります。

必ずしも楽器を使うだけが練習方法ではないので、ちょっとした時間にやってみても面白いと思います。

ロングトーンと音の作り方

ロングトーンの練習は以下の組み合わせを薦めています。

①大きい音 ⑴高音
②小さい音 ⑵低音

サックスの音は声と非常に似ていると考えています。

実際に大きい声と小さい声、そして高い声と低い声では全く違うことが分かります。
サックスを吹く上でもこの組み合わせの吹き方の違いを理解しておく必要があると思っています。

サックスは息を入れて、指を動かす楽器ですが、それだけではなかなか「いい音」というものになりません。サックスはやはり歌うように吹きたいものです。歌うような吹き方はやはり実際の声に通じるところがあるので、この上記の組み合わせを重点的に考えています。

ここで1つ重要なのが、曲で使えることが目的なので、1音ずつくわえ直さないことです。曲中ではくわえ直しは出来ないので、同じようなくわえ方で吹き方だけを変えるようにします。

これも実際に高い声や低い声で歌ってみると分かりますが、音の高低では口の変化は関係ありません。喉の変化が一番重要になってきます。この変化を掴むことが目的です。

この4種類が出て来るようになると音量差(大音量から小音量への変化など)やオクターブの切り替えなどがスムーズに行なわれるようになります。つまり、曲に表現を付けやすくなるということです。

それでは実際にやっている方法です。
以下をロングトーン(大体4秒くらい)で行います。

  1. 低いファの音を大きく出す
  2. オクターブキーを使わずに高いファの音を大きく出す
  3. もう一度低いファの音を大きく出す
  4. 低いファの音を小さく出す
  5. オクターブキーを使わずに高いファの音を小さく出す
  6. もう一度低いファの音を小さく出す

もちろん裏返らないように丁寧に吹きます。タンギングも行うようにします。
音の途中でも裏返らないようにしてみます。

大きい音と小さい音の音量差を出せれば出せるほど表現力を出せるようになっていきます。

その他の練習メニューなどは「サックス自主トレメニュー90」に記載してあります。

息をリードに当てる

「サックスを吹く時にどのように吹きますか?」と聞くと、ほとんどが「真っ直ぐに息を吹く」と答える。
これは理にかなった答えです。

しかし、もう少し突っ込んでみると「息を真っ直ぐとマウスピースとリードの隙間に入れるように吹く」となっていく。
本当にこれは正解?

確かに自分もこう考えている時があったけど、今は全く違う。
サックスはリードが発音体になる。リードの振動を増幅して音になる。つまりリードが振動しないと音は鳴らない。

となると、リードに対して息をまっすぐ入れると振動効率は悪くなるのではないだろうか。

実際に真っ直ぐに大量に息を入れるとほぼ間違いなく息が詰まる。息が楽器に入っていかない状態に陥る。
それに対し、息をリードに当てるとものすごく楽器が鳴る。そして息が詰まるということも無くなっていく。

息はマウスピースの中に入れるのではなく、リードに当てる。その結果、息の行き先は唯一の出口であるマウスピースとリードの隙間に入っていく。
それで十分。

しかし、ここでさらに一歩突き進んでみる。

それがリードへの息の当て方。

息の流れはもちろん、口内での動きなので見えない。故に想像でしかない話になりますが、「息をリードに当てろ」と言われた時にどのように吹くのかが問題になる。

息はリードに対して縦向きに当てる?それとも横向きに当てる?

これは間違いなく縦向き。
横方向がはいるとリードミスやピッチの不安定につながる。

リードミスが多い人はほぼ横方向のイメージが働いている。
そしてロングトーンをやると分かるけど、息が無くなり始めた時にピッチが上昇する人も横方向に向きが変わってしまう。

常に縦方向を考えるようにするだけでいい。

これはタンギングが苦手な人にも重要な問題になる。
タンギングが遅い場合、舌にうまく力が入っていないケースが多い。この縦方向の向きを考えるだけで舌に力が入り、タンギングの改善にも繋る事が多い。

そしてこの縦方向の息の流れを掴んだ後に、オーバートーンの練習をやってみる。
すると縦方向がだんだんと凝縮され、リードに当たる息というのは点に変わっていく。

息がリードに点で当たるようなイメージ。
高音はリードの手前側、低音はリードの奥側に移動していくような感じです。

一点に圧縮された息の塊がリードにぶつかる。
それがリードを絶妙に振動させるようになる。

こう考えると音の出し方を想像しやすく、音の改善に繋るというわけです。

リードへ当てる息

「太い音」とは

よく「太い音を出したいのですがどうすればいいですか?」という質問を受ける。

これはそういった指摘を他の人から受け、さらに自分なりに改善しようと試みたけど、上手くいかなかった場合に聞かれる質問です。

しかし、個人的にこの質問は嫌いです。
理由はこの「太い/細い」というのを誤解する場合が多いからです。

まず、「太い音」というのは何でしょう?
大きい音のこと?息をたくさん使った音のこと?

実際にはその通りで、息をしっかりと使い大きい音を出すわけなんですが、ここにもう一つ重要な要素があります。
それが音域。これを見落とすと来変なことになる。

単純に息をしっかりと入れ、大きく音量で吹くには低音域の方が圧倒的に簡単だからです。
少しアンブシュアの力を抜くだけで息はどんどん入っていくので、低音は太い音を作りやすく、体感しやすいために、低音域で音を太くするようなロングトーンなどの練習をしてしまいます。

しかし、これが問題です。

実は同じアンブシュア、同じ息量で高音域の音を鳴らすことはほぼ不可能だからです。
高音域は大量に息を入れようとすると息が詰まってマウスピースに入っていかないという問題が必ず出てきます。これはアンブシュアの噛み過ぎが原因で起こるのですが、それではどの位緩める必要があるのかを理解しておく必要もあります。

また、楽器の構造にも問題があります。
管が長い方が音量は大きく、逆に短い方が音量が小さくなる傾向にあります。
サックスのような木管楽器は低音域はトーンホールを塞ぐので、息が管全体に入るので響かせることが容易なのですが、高音域はトーンホールが開いた状態なので、管全体で音を響かせるのはなかなか困難です。
つまり、低音のほうが音は大きく、高音の方が音が小さくなってしまいます。

さらにピッチ(音程)の問題も出てきます。
「太い音を出す為には息を大量に送る」と思うと、今度はアンブシュアを緩めすぎる状態に陥ります。アンブシュアを緩めれば息もたくさん入るからです。
しかし、その分ピッチも低くなります。つまりアンブシュアの崩壊にも繋がってしまいます。

以上の問題点を踏まえた上での「太い音」を考えてみます。

高音域は息も詰まりやすく、なかなか入っていかないのですが、息がスムーズに入る息の入れ方というのがあります。それが倍音練習です。
倍音練習は息を入れる角度や息の量が適切で無いと出すのが困難ですが、正しい高音域の出し方は倍音練習でコツをつかむ方法が一番分かりやすく効果的な方法です。
※練習方法は「サックス基礎トレ本」「90日ウォーミングアップ本」に書いたのでそちらを参考にしていただければと思います。

さらにオーバートーンを出せるようになると音量も上がります。これは基音に倍音が足されるので、息量とは関係なく音量を上げる事になります。
この「基音+倍音」が太い音の原点になります。

曲でよく求められるのは高音域で伸びやかな音です。しかし、高音域は低音域のような太い音を出すことはほぼ不可能です。そこで、敢えて低音域を太く出さないということも考える必要があります。
自分の高音域の音量を把握し、それに合わせて低音域の音量を決める方法もあります。「高音域で大きい音」と「低音域で小さい音」が出るようになるとその音量差で高音域がより太く聞こえるようになります。太い音はメロディーの重要な部分などの必要な時に出すもので、それ以外は敢えて出さないようにしておくと音色にもダイナミクスが付くので、聴かせどころも出来てくるわけです。いわゆる「名演」と呼ばれるものも常に太い音を出し続けているわけではありません。使い分けているのでそのように聞こえるわけです。

また、高音域で息を入れた時のピッチも理解しておく方がいいのでチューナーなどを使うことも勧めています。

つまり、太い音というのは「高音域を大きく出し、低音域を小さく演奏する技術」の事です。
低音域だけ太い「デブ・サウンド」ではなく、高音域を大きく、低音域が小さい「逆三角形マッチョ・サウンド」作りを心がける事が重要です。

室内でのちょっとした練習時の音について

サックスは本気で吹けば100dbくらいの音量が出る。これは防音設備のない自宅などで吹けば間違いなく苦情が出るレベル。

もちろん練習はスタジオなりカラオケボックスなり行って、ちゃんと吹くことが理想なんですが、もちろんそう出来ない時もある。
自宅で吹きたく鳴る時もあるわけで。
となると、音量を落として吹きますが、その時に悪い方へ行ってしまっては元も子もない。それでは何を聴くかというと、、、「しゅーしゅー音」。

これは吹いた時に「しゅーしゅー」って息の音は必要ないということ。

ちゃんとしたアンブシュアで吹けていると息を入れた時に「しゅーしゅー音」は全く鳴らない。
ちゃんとサックスの音が聞こえる。本当に小さく、音程もちゃんと分かる。

これは適度な強度(噛み過ぎでも緩めすぎでもない)状態だと息の音がクリアに聞こえる。
息を入れて指を動かせばちゃんとサックスの音に聞こえるはず。

これが出来ると近隣から苦情が来ることもない。

さらに、「しゅーしゅー音」がサックスの音を消しているんだから、それは余分な息量とも言える。
つまり、音を出すための必要最低限な息量(余分な力を使わない量)も分かります。
理想的なアンブシュアに近づくための方法とも言える。

「しゅーしゅー音」が鳴らないコツは唇に力を入れること。
歯で唇を押さえつけるようなアンブシュアでは「しゅーしゅー音」は消えない。それは痛いだけのアンブシュア。

これが出来ると曲練習も思いのまま。
週末などにスタジオなどで思いっきり吹いてあげると本当に効果絶大!
(本当に自宅内練習だけになると逆効果の恐れもあるけど)

音感チェック

twitterの方でかなり広まったので、ブログにも記載しときます。

音感をチェックする簡単な方法があってですね、写真のような譜面を歌えるかどうか聞いてみます。下に書いてあるのは「歌詞」であって音階名じゃないですからね。ピアノなんか使いながら歌ってみます。で、歌える?

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これは本来気持ち悪い。もう違和感ありまくり状態。でも、音楽に慣れていない人は普通に歌えるんだよね。
じゃ、その「違和感」をこ作るところゆっくりやっていこうかって話しになるわけで。それを無視して一気に進めると必ず超巨大な壁がやってくる。楽器の操作(技術)だけで音楽をしようとするから。

自分のとこに来てくれる8割の人は初心者。音楽経験のない人の方が多い。派手で華やかな演奏をしたくなるのは分かる。
この譜面も何もなく歌えたし、技術を追求してきた自分がそうだったから。

けど、こういうちょっとしたトレーニングで「違和感」に変えることで今後の伸びしろが劇的に変わる。

そしてアドリブとかやるんだったら先ほどの音階名に違和感持った状態にしとかないと、高い音に行きたくても低い方に行ってみたりする。もちろんその逆で、低い方に行きたくても高い方に行ってみたり。視覚を使えない楽器なので、ちゃんと音の高低を音階名にして歌える練習しないとね。

ちなみに、先ほどの音階譜面はだいたいこういう判断をしています。
音感あるタイプ:とても違和感あって気持ち悪いけど、練習すればなんとかなる。
音感付き始めタイプ:音階名につられてしまう。
音感危ういタイプ:何が難しいのか分かっていない。