サックスのリードの硬さについて考えてみます。
前回も記載しましたが、リードは振動の幅が音量、振動の速さが音程になります。
振り幅が大きいと音も大きく、逆に振り幅が小さいと音は小さくなります。そして振動の速度が上がれば音は高くなり、振動の速度が遅くなると音は低くなります。
リードの振動で考えると高音は速い振動にしたいので、振り幅を小さくする(音を小さくする)方が音を出しやすくなります。逆に低音は振り幅を大きくする(音量を大きくする)方が出しやすくなります。
リードの硬さで考えてみると、柔らかいリードはしなるので、遅い振動(低音域)を出しやすくなります。逆に硬いリードは張りがあるので速い振動(高音域)を出しやすくなります。
つまり、高音域(フラジオを含む)をスムーズに出すためには硬めのリードをつけて小さく吹けば出すことは簡単です。
低音域を出すためには柔らかめなリードを使ってやや大きめに吹くほうが簡単です。
しかし、ここで問題になってくるのが音楽的演奏と体力・筋力面の問題です。
メロディーは高音域を大きい音量で、逆に低音域は小さい音量で演奏するのが一般的です。リードの適した振動とは全く逆になってしまいます。高音域のアクセントや低音域の小さい音でのロングトーンはすごく難易度が高いです。
また、硬いリードはアンブシュアの筋力維持が難しく、すぐにバテてしまいます。吹き始めはいいのですが、連続して30分以上演奏するとそれは顕著に現れます。
残念ながら「高音域が大きい音で出せて、低音域を小さい音で軽やかに出せて、それでいてアンブシュアにも負担をかけないリード」という万能リードは存在しません(極稀に有りますが…)。
プレーヤーはリードの硬さに合わせて、適した奏法が出来る事が重要だと思っています。以下のようなのが考え方の例です。
個人的には柔らかめなリードで高音域を丁寧に吹くようにすることを薦めています。高音域でまずは小さく吹いて運指や吹き方に慣れてから徐々に大きくしていくという感じです。
ちなみに、柔らかいリードで高音域を出すと息が詰まったり、オクターブ下の音やリードミスが起こりやすくなります。逆に硬いリードで低音域を出すと音が掠れたように、遅れて発音してしまいます。
自分に適したリード選びが出来ることも重要な「音に対する技術」です。
他にも息の量も重要になりますが、これは以前書いた内容で解消するケースがほとんどです。振動を息の量でコントロールするのではなく、息の当て方でコントロールしようという内容です。とはいえ、息の量を入れすぎてすぐに詰まってしまう場合はリードよりもマウスピースの変更を視野に入れないといけないですが。
自分の現在の愛用はWoodstoneの2 1/2。ちょい高いけど、好みな硬さ。
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