息をリードに当てる

「サックスを吹く時にどのように吹きますか?」と聞くと、ほとんどが「真っ直ぐに息を吹く」と答える。
これは理にかなった答えです。

しかし、もう少し突っ込んでみると「息を真っ直ぐとマウスピースとリードの隙間に入れるように吹く」となっていく。
本当にこれは正解?

確かに自分もこう考えている時があったけど、今は全く違う。
サックスはリードが発音体になる。リードの振動を増幅して音になる。つまりリードが振動しないと音は鳴らない。

となると、リードに対して息をまっすぐ入れると振動効率は悪くなるのではないだろうか。

実際に真っ直ぐに大量に息を入れるとほぼ間違いなく息が詰まる。息が楽器に入っていかない状態に陥る。
それに対し、息をリードに当てるとものすごく楽器が鳴る。そして息が詰まるということも無くなっていく。

息はマウスピースの中に入れるのではなく、リードに当てる。その結果、息の行き先は唯一の出口であるマウスピースとリードの隙間に入っていく。
それで十分。

しかし、ここでさらに一歩突き進んでみる。

それがリードへの息の当て方。

息の流れはもちろん、口内での動きなので見えない。故に想像でしかない話になりますが、「息をリードに当てろ」と言われた時にどのように吹くのかが問題になる。

息はリードに対して縦向きに当てる?それとも横向きに当てる?

これは間違いなく縦向き。
横方向がはいるとリードミスやピッチの不安定につながる。

リードミスが多い人はほぼ横方向のイメージが働いている。
そしてロングトーンをやると分かるけど、息が無くなり始めた時にピッチが上昇する人も横方向に向きが変わってしまう。

常に縦方向を考えるようにするだけでいい。

これはタンギングが苦手な人にも重要な問題になる。
タンギングが遅い場合、舌にうまく力が入っていないケースが多い。この縦方向の向きを考えるだけで舌に力が入り、タンギングの改善にも繋る事が多い。

そしてこの縦方向の息の流れを掴んだ後に、オーバートーンの練習をやってみる。
すると縦方向がだんだんと凝縮され、リードに当たる息というのは点に変わっていく。

息がリードに点で当たるようなイメージ。
高音はリードの手前側、低音はリードの奥側に移動していくような感じです。

一点に圧縮された息の塊がリードにぶつかる。
それがリードを絶妙に振動させるようになる。

こう考えると音の出し方を想像しやすく、音の改善に繋るというわけです。

リードへ当てる息