マウスピースだけの練習について考える
サックスの練習方法で「マウスピースだけで吹いて練習する」というのがあります。
この練習方法はいわゆる学校の吹奏楽部でよく行なわれるものですが、実はこの練習はよく指導者側で「意味の無いこと」とも言われています。
自分もこう考えていましたが、実はこのマウスピースだけで吹くというのも非常に重要な「初心者にとってサックスの音を知る」方法だと思っており、全く無駄なことではなく、非常に重要な役割もあると考えるようになっています。
サックスという楽器は音を出しやすい楽器です。正直、ある程度の肺活量があれば誰でも音を出せる楽器だと思っています。しかし、「良い音を出す」というのは本当に難しいです。サックス本体を組み立てて演奏するといわゆる「悪い吹き方(アンブシュアなど)」でも音は出ます。つまり、初心者にとっては音の善し悪しを判断するのが難しくなります。
そこで簡単な判断方法の1つとしてマウスピースだけで吹いてみます。その時に以下のことを重点的に聴いてみます。
- どんな高さの音が出ているのか
- どれだけ音を伸ばすことが出来るのか
- 歯に不必要な振動を感じていないのか
基本に忠実な吹き方というのは高い音で、10秒以上伸ばせる状態で、歯に振動は感じません。大体10秒(男性なら13秒)以上伸ばせる状態であれば問題のないケースが多いです。
出来ない場合はアンブシュアが原因であり、改善する必要があります。リードやマウスピースの交換も必要あると思っていますが、10秒位ならダメなリードでも行ける可能性が高いです。(ちなみに自分の場合は60秒位は伸ばすことが出来ます)
実際に楽器を使った練習で「急に息が続かなくなった(音を伸ばせなくなった)」「音が割れるようになった」など、音に関するトラブルが出た時はもう一度マウスピースだけで吹いてみます。すると吹き方に問題が出ていることに気づきやすいです。
他にもマウスピースだけで綺麗に音が出ているが、楽器を付けた状態で異変があれば楽器(リードを含む)側に原因ということも考えられ、対処方法を考えることもできます。
マウスピースだけで吹くというのは「練習」というより「確認」という意味が強いです。指導する上でも初心者の人にサックスの吹き方を理解してもらう、分かりやすい方法です。聞いていて明らかに不自然な「音色・音の揺れ」が出て来るからです。
確かにある程度吹ける人にとってはあまり意味のない事になってしまいますので、吹き方のコツさえ掴めれば後は必要ないでしょう。