サックスの「エロい音」を考える
「サックスでどんな音を出したい?」
こう聞くと「エロい音を出したいです。」よく返ってくる。
うん、サックス(に限らずだけど)にとって「エロい」は褒め言葉です。でも、これって一歩間違えるとダメな音でもある。
そもそも「エロい音」って何かというと「感情表現豊かな音」と言える。対義語が「無機質・無感情な音」であったり「平坦な音」「一本調子な音」あたりになるのかな。
これらの音は誰しもが言われ、自覚症状もあり、それを越えるべく悪戦苦闘するんだけど、重要な要素に気づけるといいんだけどなーといつも教えていて思っている。
サックスは息を使う管楽器なので、音量や音程のコントロールを行いやすい。減衰音であるギターやピアノでは出せないので、より音量や音程に目が行ってしまう。
もちろんエロい音だなーと思う演奏はたくさんの細かいテクニックがある。
- 装飾音符やちょっとしたフェイクといった運指的な技術
- 大きい音から小さい音まで、音量を自在に操る楽器の鳴らし方の技術
- ビブラートやちょっとしたフェイクなどの音程的な技術
エロい音を目指す人は間違いなくここを目指す。これらの技術を知りたがる。もちろんエロい音を出すときには使う。
しかし、、、、
これらは本質ではない!!
細かいことにこだわり過ぎじゃね?っていう位、技術的なことを追い求めると本質的なことからかけ離れている。これらは本質的なことをやった上で、身に付けると間違いなくプラス効果が得られる。だから聞いていてカッコいいんだし。
本質のないエロさ。
ええ、危険極まりないです。「エロい音」には程遠いです。エロいになれない、「スケベな音」であったり「ムッツリな音」であったり、そう表現すればいいでしょうか。
そうですよね、大人のエロさを求めても、勘違いしてるんだから、そうにしかならないですよね。
じゃ、「本質って何よ」ってくるんだけど、それが「リズム的要素」。もうこれに尽きる。
「リズム感」を鍛えることが間違いなくエロい音を出すことに繋がる。
リズム感というのは相手とのコミュニケーション手法と思ってくれればいい。エロさって相手がどう思うかってのが必要じゃん。相手のことを無視した勘違いのエロさって超ダメなやつだってことです。
じゃ、ここからが本題。
サックスにとってエロさを出すリズム感の鍛え方。
一応エロさを出すことが目的な内容なので、「目指せ上級者」向けな人対象です。
まず、普通に演奏出来る4/4拍子の曲を持ってくる。それを演奏するんだけど、下記のように足でリズムを刻みながらやってみる。
1 | 2 | 3 | 4 |
右 | 右 | 左 | 右 |
3拍目だけ左足ね。
これ、すごく難しくない?難しいと感じたら、「エロい音」に一歩近づいたよ。
次に足を逆にしてやってみる。
1 | 2 | 3 | 4 |
左 | 左 | 右 | 左 |
両方やってみるといいよ。出来たら次にいくのではなく、交互にやってみたほうがいいね。目的は足を踏む(刻む)ことじゃなくて、数えることが目的だから。
キーワードは「数える」ってことです。曲を拍数を数えながら演奏すること。超絶ムズイ。
他にも2拍目だけ変えてもいいね。
1 | 2 | 3 | 4 |
右 | 左 | 右 | 右 |
この辺になると、普段出来る曲でも超絶難しく感じるはずです。でも、これがリズム感。そう、相手とのコミュニケーション手法。簡単に身につくもんじゃない。
さて、これで下地を作った上で、エロさの追求です。
それが数え方。
1 | 2 | 3 | 4 |
右 | 右 | 左 | 右 |
最初にやったこれ、何気なく数字書いてるけど、これ、どう読んだ?
イチー | ニー | サンー | シー |
右 | 右 | 左 | 右 |
1:上のように、数字の最後を伸ばした?
イチッ | ニッ | サンッ | シッ |
右 | 右 | 左 | 右 |
2:上のように短く言った?
イーチ | ニーイ | サーン | シーイ |
右 | 右 | 左 | 右 |
3:ギリギリまで長く言った?
そう、数え方にもたくさんある。これがグルーヴ、つまり音楽のノリ方。
もうこうなってくるとサックス吹きながら数えることの難しさが分かると思う。数えながら演奏出来ないとエロさは身につかない。それは超絶難しい。その難しさから逃げたらダメなんだよ。
ちなみに「3」がエロさを身につける歌い方だね。「2」は歯切れの良さというか、軽やかさを身につける方法。
そして、さらなるエロさを出すための方法がある。
それがギャップを出すこと
ギャップとは思っている事をあえて裏切る行為。でも、予想をいい意味で裏切るのがいいんだよなーという、一歩間違えたら勘違いなんだけど、そうならない方法。
イチッ | ニッ | サンッ | シッ |
右 | 右 | 左 | 右 |
例えば上で出てきたこれ。これも「右」「左」って書いたけど、それでいいの?足の踏み方も「みーぎ」「ひだーり」で足をゆっくり動かしたりするのはどう?
イチッ | ニッ | サンッ | シッ |
みーぎ | みーぎ | ひだーり | みーぎ |
こんな感じに。
数え方はビシっとしてても足の動きはゆっくりに。そう、これがリズムのギャップ。出来たら間違いなくエロくなる。
いわゆる「レイドバック」ってやつにもつながる。勘違いレイドバックはモタる(遅くなる)だけど、正しいレイドバックはリズムは正確にするけど、足の踏み方をゆっくりにしてみたりすると身につく(とはいえ、ありとあらゆる曲でこんな事やったら怒られるけど…)。
これらのリズム感的要素を身に付け、運指的な技術、楽器の鳴らし方の技術、音程的な技術を使うんですよ。そしたらそりゃもう鬼に金棒。エロい音をガンガン出すことが出来ます。
本質的なリズムと技術的な事は掛け算になる。いくら技術を身に付けても、リズムがマイナスだと、マイナスの方に増える、つまり聞いていて心地よくないだけ。リズムと技術の相乗効果が分かれば、シンプルながらも魅惑的な音は出せる。
エロい音を出すときは相手(他の楽器ピアノやベース、ドラムなど)を意識することから。自分のエロさだけを出そうとするとそれは勘違いサウンドになるので要注意!!