サックスの音量差への考え方

適正な音量とは

サックスの「適正な音量」というのは音程のズレがない状態で裏返ったりしないように吹ける状態の音量のことです。音量を大きくし過ぎる(息を入れ過ぎる)とピッチ(音程)は下がってしまい、コントロールもしづらい(裏返る)状態になってしまいます。

音量コントロールという意味では「平均的な音量調整」なのか、「音量差を出せるようにすること」なのかの2つの観点から見ていく事が重要になると思っています。

ここでは「音量差を出せるようにすること」に絞ってみたいと思います。

音量を上げる理由が「自分の音が聞こえないから」「バンドの人に言われたから」とという理由のみだと平均的な音量を上げる意味も含まれていますが、フレーズの音量差によって解決するケースもほとんどだからです。

音量差によって大きく聞こえる理由

実はプロであろうとアマチュアであろうとサックスで出せる大きい音、小さい音というのはそこまで差があるものではないと思っています。
(もちろんその僅かな差を出せるのに苦労しますが… 要ロングトーン!)

しかし、何故か大きく聞こえたりするんですよね。

その秘密がアーティキュレーションの使い方です。必要な時に最適な音量で、最適な音の長さで吹くこと。これだけであまり音が大きくなくてもズバッと聞こえます。ここの見分け方が上手い人は演奏がすごく適した音量に聞こえます。

実際にジャズでは高音のアクセントの音ははっきり聞こえますが、低音はあまり聞こえないフレーズが結構たくさんあります。コピー譜などの楽譜には書いてあるけど聞こえないというのが多いはずです。

常に大きい音というのは「大きい声で叫び続ける」という状態に似ており、逆に何を言っているのか分からない状態に陥りやすいです。コントロール不能に陥りやすいし。

重要なところだけ大きい声で言ってもらうほうが分かりやすいですよね(例:「ここテスト出るぞ」など)。

こういった人間的な心理部分に寄るところがサックス演奏時でも多いからです。

大きく音を出せるということは音量差を付けれるということ

まずは大きい音を出す練習も行ってみます。しかし、これは大きい音で吹いて聞こえるようにしようというのが目的ではなく、大きい音を出せるようになれば音量差による表現力を増やすことができるという意味です。

注意しなければいけないのが、大きい音のみを追求しすぎる場合は小さい音が全く出なくなっていくケースです。ただ単純に音量を上げるにはアンブシュアを緩めて吹けばいいのですが、それでは前述の通り、ピッチは下がってしまいバンド演奏で音痴状態になることが多いです。そしてアンブシュアが緩んでしまっては小さい音もでなくなってしまいます。

大きくするべき音はもっと大きく、小さくするべき音はもっと小さくといったようにコントロールできる範囲を広げることが目的なので、大きい音と小さい音の両方を行うようにします。

また、チューナーなどを見ながら音量や音域を変えてもピッチの誤差が出過ぎないように行うようにすると効果的です。

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ロングトーンやスケール練習でも音量差を考えた練習方法を取り入れることが重要です。