サックスのストラップの高さを考える
サックスのストラップの高さというのは非常に重要です。
右手や、アンブシュアでの痛みがこれで解決出来る可能性がたくさんあるからです。
はじめてレッスンする人で多いのがストラップが低すぎる状態。
この低すぎる状態というのが右手を痛めやすい状態です。その状態は回避したいので「ストラップを上にあげてください。」と言いますが、これでもまだ低い状態が続きます。
理由を聞くと「息苦しい」「窮屈」という2つの理由が主に返ってきます。
この理由で下げている人はほぼ間違いなく低すぎです。
サックスはアルトで約3Kgの重さがあります。
ストラップを効果的に使えていない場合はこの重さの全てが右手、しかも親指付近に集中してしまいます。
3kgの重さが持続して右手親指に負荷がかかると親指だけでなく、手首の腱鞘炎になるのは分かりきったこと。上手くストラップを使って重さを右手親指だけでなく、負荷を分散させる必要があります。
実際に上に上げる時はどの位までという事ですが、基本は「上の前歯にマウスピースがしっかりと当たるまで」です。
上の前歯はもちろんマウスピースに当てて吹くのですが、これを当てに行っている状態(首を前かがみにする状態)は低いと判断します。
真っ直ぐに立ち、そのまま口元に持っていった時に、上の前歯にマウスピースが当たる状態です。ちょっとでも前かがみはNG。
ここで「慣れないことをするので苦しい」と感じるのであれば「慣れろ」としか言えません。「窮屈な状態だけど理想型」がいいのか、「なんとなく吹けているけど、身体を痛める」のがいいのか。
実際に理想型を掴むと窮屈と感じるどころか、すぐに慣れます。本来「楽な姿勢」なので。
そして「なんとなく吹けている状態」というのも実は厄介で、、、。音が出るからいいんじゃないかと思いきや、ほぼ下唇に歯型クッキリの噛み過ぎ状態になっているパターンが多く見受けられます。
ストラップの高さはこのようなアンブシュアの痛みにも関係してきます。
サックスはリードが振動して鳴る楽器。このリードの振動が重要なんですが、ストラップが低すぎる状態では楽器の位置も低くなるので、上の歯がしっかりとマウスピースを固定出来ない状態となり下唇にリードを押し当てる状態になってしまいます(上弱下強状態)。しかし実際は逆です。上の歯をマウスピースにしっかりと当て、リードに軽く触れる状態が望ましいです(上強下弱状態)。
上弱下強状態は音を出しやすいのですが、音程合わない、息が入らないから音が細い、噛み過ぎて痛いなどメリットはありません。言い切ります!
上強下弱状態をしっかりと作る必要があります。その為にストラップを高くすることが原点です。
右手に痛みを感じる場合はストラップの調整を。
首が締まって苦しいと感じるのであれば、短めなストラップに変えることも視野に入れたほうがいいでしょう。(海外のものは長いものが多く、国産のものは比較的短いものが多いです)
※実際にサックスを構えた写真やストラップの高さ調整については「サックスプレイヤーのための全知識」「一生使えるサックス基礎トレ本」に記載していますのでそちらを参照してください。
そして、、、、
そこから進化していくんですよね。
YouTubeとかで動画をみるとストラップ低い人が多いことが分かります。
プレイヤーの共通点を見ると、楽器から身体を離して演奏しています。
実は楽器を身体につけて演奏するほうが楽器の重さを分散することが出来るんですが、身体から離すほうが楽器が安定します。
さらにサブトーンなどの音色表現の変化も付けやすく、メリットが生まれます。楽器を構えることに慣れてくるとストラップを低くしても「上強下弱状態」を作れるようになっているので、このようなストラップ位置でも演奏できるようになります。正直な所、経験年数1〜2年で低い位置をマネするのは止めることをお勧めします。