サックスを演奏していて不快に高い「ピー」とか「キー」とか出る音。それをリードミスと呼びます。
リードミスは気になるし、避けたいところ(過去のリードミス関係の記事はこちら)。そのリードミスにも原因はたくさんありますが、アンブシュア関係の原因に絞って対策を考えてみます。
リードミスは高次倍音の一種です。コントロールされる倍音は音作りに重要ですが、コントロールされていない倍音がリードミスと呼ばれるものです。
リードミスの原因にも下記のようなものがあります。
くわえる角度やタンギングなどの演奏者のアンブシュアの原因
運指の遅れなど、完全にキーが閉じきっていない状態で吹くことが原因
リードが硬すぎる、もしくは柔らかすぎることで、自分の息と最適なリードの硬さのバランスが合っていないことが原因
調整が十分ではない状態で、人為的原因2と同じように完全にキーが閉じていないことが原因
この4種類に分類されることが多いですが、やはり重要なのは「人為的原因1」ですね。演奏者のアンブシュアや吹き方による問題です。
リードミスの多い人の演奏で多いのがアンブシュアの角度が付きすぎ問題です。マウスピースと口は直角くらいが基本だと思っています。
しかし、ストラップが高すぎたりすると、顔が上向きになったりします。つまり、マウスピース(というかリード)が下顎に近い状態です。
これは明るい音がするタイプの吹き方に多く、実際に音も明るくなるタイプの吹き方で、演奏者のイメージによっては全然問題ないです。
実際に息もリードに当たりやすくなるので吹きやすくなるメリットもあります。
しかし、「明るい音=高次倍音が出ている=リードミスが起きやすい」となります。コントロールできれば大丈夫ですが、このコントロール出来ない場合にリードミスが多くなります。
この場合はただ単純に「ストラップを下げる」「下を向く」というのでほぼ解決します。
とはいっても下げればいいというものではありません。逆にストラップ低めや、下向き気味はダークな音を出しやすく、リードミスも比較的少ないですが、息もリードに当たらないので、楽器が鳴らないようになります。あと、右手の親指がとてつもなく痛くなります。
適正な高さと角度を維持するというのが大事になります。
自分は息は「真っ直ぐマウスピースの中に入れるように吹く」ではなく、「リードに息を当てるように」と言っています。
間違いなくリードに息を当てる方が鳴ります。しかし、その角度が極端になってしまうと逆効果です。息をリードに当てるイメージでも、これは上を向くという意味ではないです。口の中で息に角度をつけると言う意味です。
つまり、顔はまっすぐ向くけど息の向きは上向きかどうかです。これが楽器が鳴るけど、リードミスが起こらないという吹き方になります。
音域にも注意が必要です。
高音域は上を向いてしまう場合が多いからです。しかしこれはダメというわけではないです。高音域を歌えば自然と上を向いてしまうように、サックスで高音域を吹いても自然と上向きになるのは問題ないと思っています。
しかし、音が裏返らないように上を向く(というか顎を突き出す)のはNGです。
上を向く(顎を突き出す)と間違いなく高音域も出しやすく、裏返らないようになります。しかし、それはピッチも合わない上、音色を犠牲にする吹き方です。そしてリードミスも起こりやすい。
高音域に少しでも上を向いていないかもチェックしてみます。
アンブシュアの角度を変えても治らない場合はアンブシュアの力加減のバランスが崩れていることも考えられます。
サックスのアンブシュアの基本は体の中心に力が入ること。口も同じです。口の両サイドに力が入ると、真ん中には力が入らなくなります。
これはロングトーンが大丈夫でも、曲になると変わることが多いです。口がバテてしまったり、譜読みに集中しすぎるあまりアンブシュアの意識が吹っ飛んでしまったり…。息の入れすぎも注意すべきことの一つです。
アンブシュアを確立する上で重要なのが奥歯のイメージ。
「奥歯はどこにいる?」「上の奥歯と下の奥歯はどのくらい開いている?」
この2つを質問するとほとんどが「分からない」という回答になります。しかし、リードミスをなくしたいのであれば「分からない」ではなく、自分の状況を把握しておくことです。
もちろんそれが曲の演奏中であっても。
ということで、リードミスが多発する場合は顔の角度、アンブシュアの力加減を考えてみてください。