レッスンをやっていると「間違えずに演奏してやろう」オーラが強すぎる人もいる。そういう人は運指のミスと裏返る音を気にし過ぎる。しかし、この運指のミスとか音が裏返るとかは自分の場合ほとんど気にしない。
自分の判断基準はシンプルに「ミス」か「出来ない」かの2つ。
出来ないというのは10回やって10回とも失敗する場合。ミスというのは10回やって数回(自分の場合は3〜4回でも成功すればOK)はちゃんと出来る場合。
100%完璧な演奏なんて聴いたことがない。誰でも間違えるし失敗もする。
もちろんミスのない演奏というのは理想である。その理想に近づけるために練習するわけだから。
しかし、聞いていると100点満点の演奏を取ろうとする感じが強すぎる。つまり一つのミスも許さない状態。
自分の場合は100点満点じゃなくてもいいから合格点を出して欲しいと考えている。
学校の試験だってそうだし、人生に100点満点って何度経験した?少なくとも自分はあまり経験がない。小学生くらいならまだしも、大人になればなるほどその経験は少ない。
もちろん高得点を出すほうがいい。でも、その高得点を出すためには段階的なトレーニングというのが必須と考えるから、最初からノーミスにこだわる事は止めてくれと言う。
ここでもう一つ「音楽」をやってもらいたいと考える。
サックスというのは音楽を奏でる楽器。
もちろんいい音楽を奏でるためには技術が必要。しかし、楽器を操ることばかり考えてもいい音楽というのは出来ないと考えている。
サックスの演奏で大事なのはメロディー。
メロディー歌いながら吹くことの方がとても大事。歌うように吹くことに集中して間違えてしまうのはおおいに歓迎する。どれだけ間違えずに演奏出来たとしても、ハートがこもってない演奏なんて聞いていてなんの感動もない。逆にちゃんと「このメロディーを聞いて!」ってのがあると、すごく楽しくなる。
いつでもどこでも完璧に演奏したいに決まってる。ミスは恥ずかしいし、嫌に決まってる。それが先生相手のレッスンだとしても。
でも、人間、ミスを克服して成長する。ミスやったとしても楽観的に。世の中の先生っていうのはそのミスを経験済みだから、絶対に寛容的だし、その解決方法も知っているはず。
むしろたくさん間違えてと言いたいです。その方が改善点が具体的にわかるから。ミスしたって何回かやって、その成功率から改善策を作るわけだから。
そしてレッスン中に自分が出来たと思った事でも先生にダメと言われ、逆に自分的に不甲斐ない演奏でも先生に褒められることもあるはず。こういう場合、ダメといわれる場合がほとんど指にこだわりすぎた音楽的ではない演奏で、褒められたほうが音楽的な演奏出来ていると思っていい。
客観的に見るとよく分かるし、録音などして聞き返してもよく分かる。より音楽的なのはどっちかというのが。
だから、この時に疑問があれば理由をすぐに聞いた方がいい。上達の秘訣が詰まっている。
レッスンの先生にビビることなんて何もない。どんどん聞いてと言いたい。
自分にとっての目標は「○○出来る」ではなく、「聴いている人を演奏で泣かす」です。
レッスンでもこの理念だけは絶対に崩したくない。
但し、基礎練習はノーミスで!